出生数100万人割れの「非常事態」

出生数100万人割れの「非常事態」

その深刻さと対策を考える

〈『明日への選択』平成29年2月号〉


 昨年一年間に生まれた子供の数がついに百万人を割り込んだ。厚生労働省が年末に公表した推計によれば、二〇一六年の出生数は九十八万一千人。前年より二万人以上減少し、少子化の進行が改めて浮き彫りになった。出生数が百万を割るのは統計を始めた一八九九年(明治三十二年)以来初のこととされる。

 第一次ベビーブームの団塊世代(一九四七年~四九年生まれ)は年間二百六十万人、団塊ジュニア世代(七一年~七四年生まれ)は二百万を超えていた。つまり、わが国の出生数はわずか七十年で「三分の一」に激減し、この四十年で半減したわけだ。このような急減ぶりは「非常事態」と言うべきだ。

 ちなみに、ある新聞の調査では、昨年の重大ニュースの第一位は国内では熊本地震、国外では米大統領選でのトランプ勝利だった。しかし、わが国の将来への影響という点で、出生数百万人割れが投げかける問題は、熊本地震やトランプ・ショックよりも遙かに深刻なものがある。

 実際、この事態に大半のマスコミは強い危機感を表明した。産経社説(1・4)は「安倍首相はいまこそ『非常事態』を宣言し、早急に少子化対策の強化に乗り出すとき」と訴え、日経社説(12・25)は「出生数100万人割れが示す危機に向き合え」との見出しの下、「少子化対策は日本の最大の課題」と説いた。

 驚かされたのは、毎日の社説(1・8)である。「深刻な危機が国を襲う」という見出しで、「私たちが気づかないうちに、人口減少は社会の土台を崩していく。今こそ未来志向の政策を大胆に実施し、急激な人口減少から日本を救わなければならない」と檄を飛ばしている。

 リベラル系マスコミまでが人口減少をかくも憂慮し、「日本を救え」とまで訴えたことは注目に値する。逆に言えば、出生数百万人割れは、それほど深刻な事態ということだ(なお、なぜか朝日の紙面にはこうした危機感は見られなかった)。

 そこで、「出生数百万人割れ」が投げかける問題をどう捉え、どう対処すべきなのかを論じたい。(続きはこちら)

〈『明日への選択』平成29年2月号より抜粋〉

【本稿の主な内容】

 ・トランプ・ショック以上の「大激震」

 ・今や「一線を超えた」

 ・求められる政策の再点検

 ・ライフ・デザイン教育で20代の結婚を増やそう

 ・多子家族を支える「親手当」を導入せよ

(続きはこちら)